「同じ気持ちで良いご参拝の形を作りたい」水天宮でのお参りと出張撮影

2026.03.05更新

お宮参りや七五三で神社を訪問する出張撮影のラブグラフが、参拝先への敬意を持って出張撮影文化を広げていくためのインタビュー企画「ラブグラフが参る!」をはじめました。第一回は東京都 水天宮にお邪魔しました。

「同じ気持ちで良いご参拝の形を作りたい」水天宮でのお参りと出張撮影
ラブグラフでは、季節問わず神社・お寺にお伺いしてお宮参りや七五三フォト撮影をしています。増えゆく撮影のニーズの中で、カメラマンと参拝者がマナーとルールを守り、より参拝先への敬意を持って出張撮影文化を広げていくためのインタビュー企画「ラブグラフが参る!」をスタートします。

記念すべき第一回は東京中央区の水天宮。今回は水天宮の歴史から参拝マナー、出張カメラマンの撮影マナーなどさまざまなお話をお伺いしました。
■ ラブグラフとは?
恋人との記念日、友達との旅行、結婚、お宮参りや七五三など人生の中での様々なシーンで、お客様が撮影したい日・撮影したい場所に、プロのカメラマンが出張し何度も見返したくなる写真を撮影する出張撮影サービスです。

■ ラブグラフの取り組み
お宮参り・七五三フォトの出張撮影ご依頼が増えていく中で、様々な撮影や研修の経験を活かし、神社で撮影する際のポイントをまとめた『神社撮影ガイドライン』を公開しました。(▷ ガイドラインはこちら

■ この記事のインタビュアー
ラブグラフ代表・駒下純兵

■ 水天宮の歴史

——本日はお時間いただきありがとうございます。さっそく色々とお話を伺いできればと思っています。ラブグラフでは水天宮でのお宮参りの撮影が大変多いのですが、水天宮が"お宮参りの神社"として多くの人に知られている背景をお伺いできますか?

水天宮・有馬さん:元々は福岡県の久留米市に“水天宮”という神社があります。文政元年(1818年)、久留米藩の藩主の有馬頼徸(よりゆき)公が、参勤交代のときに江戸のお屋敷にも水天宮をお祀りしたいということで、神社と一緒にお引っ越しをしてきた、というのが始まりです。
久留米でもお参りをしていた神社を、江戸の屋敷にもお祀りしたい、というお気持ちが江戸の水天宮のルーツになります。今年で神社が鎮座してからだいたい200年くらいになりますが、江戸の頃から“安産祈願”で有名だったようです。

拝殿の鈴から下がっている“鈴の緒”を妊婦さんがお腹に巻いたら安産になった」という話が江戸の新聞や、風説書きで紹介されるようになり、江戸の庶民の間で “安産祈願をするなら水天宮”というのが口コミで広まっていったのです。

 ※※※水天宮サイトより引用した写真。利用許可要確認※※※
水天宮・有馬さん:もちろん安産祈願をされた方々は、そのあとお子様がお生まれになりますので、“無事に生まれました”というご報告を水天宮の神様にされるんです。そこからお宮参りのご家族様も多くお見えになるようになっていったのかな、と思っています。

——起源は福岡で、そこから江戸の水天宮になったのですね。

水天宮・有馬さん:はい。福岡のほうは“水の神様”として古くから崇敬を集めていた神社なんですが、 久留米も今は安産祈願やお宮参りなど、お子様に関わる人生儀礼を祝う神社になっています。

■ お宮参りの意味と家族への想い


——私含め現代人のみなさんは、お宮参りのことをあまり深く知らないのではないかと感じています。 改めてお宮参りを行う意図や思いをお伺いできますか?

水天宮・有馬さん:はい。お宮参りというお祝いの儀礼自体は、ここ100年くらいで今の形になったことと思いますが、赤ちゃんが無事に生まれて、無事に育つかどうか”という不安が大きかった時代から、もっと長く続いてきた行為だと思っています。

昔は、赤ちゃんが無事に生まれるかどうかもわからない・衛生的な環境でもない・出生率も低い…そんな時代で、人々は赤ちゃんが無事に産まれることや無事に育つことを病院ではなく“地域の神様”にお祈りをしていたんです。

今は男の子31日目、女の子32日目にその土地の神様にお宮参りをする、という形が一般的ですが、根本には“無事に成長できますように”という願いが変わらずにあります。

——お宮参りに"こういう気持ちで来てほしい"みたいな、神社さん側の思いがあれば教えてください。

水天宮・有馬さん: 赤ちゃんの成長って本当に1日1日すごく早いですよね。お宮参りとか七五三とか、その時々の成長の一瞬を写真撮影も含めて“思い出に残す”ってすごく大事だと思います。
お宮参りの時にこう泣いちゃったなぁとか、笑ってたなぁとか、なんか楽しかったなぁって思い出を“より留め置く”きっかけになると思うんです。

水天宮・有馬さん:私たちはご祈祷でご奉仕させていただくとき、ご家族が本当に色々準備されて、お食い初めの席を予約されてたりして、“しっかりお祝いしたい”っていう気持ちで来られてるのが伝わってきます。私たちもそういう“思い出作りのお手伝い”と、神様への“ご報告のお手伝い”をしている、という気持ちでご奉仕しています。
水天宮は本当にお宮参りが多いので、ご家族の笑い声とか笑顔とかがあふれている、あったかい神社だなぁと感じています。

神社の良いところは、本当に“お祝いごとが多い”ところであると感じています。もちろん何と比べるわけではないですが、特に水天宮はお宮参りや七五三などお祝いの儀礼がすごく多いです。お宮参りと七五三にいらっしゃったお子さんが、成人したときに振袖を着てまた来てくれたりすることもありますし、安産祈願で来た妊婦さんが“妊娠したらここに来ようって決めてました”と言ってくださることもあって、そういう瞬間は本当に嬉しいです。

あと、赤ちゃんって本当にすごいエネルギーを持っていると感じます。泣いたり笑ったり、その全部が“生まれたての命の力”ですよね。ご奉仕する側も、赤ちゃんから元気をいただいています。 神様の空気をしっかり吸って、すやすや寝てる赤ちゃんを見てると、本当にありがたいなぁと思います。

私たちは、神様のエネルギーを参拝者の方にしっかりとお届けするのが役目ですけど、参拝者の方の笑顔や思いから、こちらも力をいただくんです。そこは本当に“双方向”だと感じています。

■ お宮参り撮影ではマナーと配慮を

——ラブグラフでは水天宮さん含め様々な神社やお寺でのお宮参り・七五三フォトの撮影ご依頼がとても多いです。撮影に伺う上でカメラマンに気をつけて欲しいことがあればお伺いできますか?

水天宮・有馬さん:お宮参りの参拝と撮影をしてくだっている時にも、他のお参りの方や子授け祈願だったりとか、安産祈願だったりとか、それぞれ“大切なお願い”があって神社に来てくださっています。みなさんに気持ちよくお帰りいただきたいというのが神社としての思いです。

水天宮にはマナー違反のカメラマンさんはあまりいらっしゃらなくて、すごくありがたいなと思っています。ただ、強いてあげるとすれば他の神社さんからは

・お参りしている人の横で大きな声でポージングをしてしまう
・“真ん中で撮りたいのでちょっとずれてくださーい”と言ってしまう
・参拝動線を止めちゃう


といったお話をお聞きしたことがあります。

水天宮・吉田さん:礼儀正しくされているカメラマンさんもすごく多いんですが、 中には、ふっと来て鳥居の前で長いこと座って、お客様をずっとお待ちになられてる方もいらっしゃいます。神様がお祀りされている場所なので、神様が祀られる場での身の処し方を是非とも心得ていただきたいです。

水天宮・有馬さん:写真を撮っていただくのはすごく良いことですがいろんな方がいろんな願いを持って来ている“祈りの場所”というのが大前提なので、“神社をただの背景として使う”というのは避けていただきたいと思っています。社殿の中には神様がおられて、その神様に見守られながら思い出を残していただく場所とご認識いただければ嬉しいです。

カメラマンさんによっては、ちゃんと手水舎で手を清めて、お参りをしてから撮影に入る方も多くいらっしゃるんです。撮影される方の“神様への向き合い方”としてすごく良いと思います。

——カメラマンのマナー意識が高まっていて安心しました。お参りの際のお願いごとの仕方をお伺いできますか?神様に住所を言ったほうがいいとか、名前を言ったほうがいいといった話を聞いたことがあります。

水天宮・有馬さん:日本の神道は“慣習”で伝わる部分が多いので、神社ごとに少しずつ異なるのですが…。
神様の前でまずご自分がどういう存在かをお伝えするところからが良いかと思います。住所を言うのもそうですし、お名前を言うのもそうだし “今日はここまで無事に来れたことをありがとうございます”っていう感謝をまず伝えてから“こういう願いがあります”っていう順番が、本来は理想なんじゃないかなと思います。

水天宮・吉田さん:どうしても“お願い”が先行しがちの人が多いと思うんですが" 感謝があって、そのあとに願い"という流れが自然だと思います。

「神様はなんでも知ってる」と思われがちですけど、お名前も住所も言わないで願いだけ言われると、まぁ…どちら様ですか?って思っちゃいますからね。私たちも、初対面の人に名前も言われずに悩み相談されたら戸惑うじゃないですか。 神様も同じだと思います。まずは自己紹介→感謝→願いといった流れがしっくりくると思います。

——

水天宮・有馬さん:あと、最近の変化でいえば…やっぱり“写真を残したい”っていうのがすごく増えたと思います。今までは思い出話や口コミみたいに伝えていたものが今は物や写真として残し、それをSNSで共有する…みたいなものがすごく多いですよね。

そういう意味で、カメラマンさんが神社で撮影されるっていうのも、今の時代の“需要”だと思うので、排除するんじゃなくて“お祈りも大事にしつつ、思い出も綺麗に残す”っていうバランスはすごく重要だなと思います。

ありがたいことに水天宮にいらっしゃるカメラマンさんは、総じてマナーが良いと思います。ちゃんと事前にお声掛けいただいたり、手水をしたり、お参りしたり。出張カメラマンって、その教育が大変だと思うんですけど、すごく丁寧にされている方が多いな、と感じています。

——ありがとうございます。カメラマンだけではなく、お参りにいらっしゃるご家族にもマナー面で意識してほしいことはありますか?

水天宮・有馬さん:そうですね…。一番は、やっぱり“祈りの場である”とご理解いただいた上で来ていただけたらと思います。お宮参り、もちろん大事な節目ですけど、他にも子授け祈願とか安産祈願とか、それぞれ本当に“大切なお願い”があって来てる方が、同じ場所にいます。みなさんに気持ちよくお帰りいただきたいと思っています。

■ マナーについては神社間での交流も

——他の神社さんとの繋がりや交流はありますか?

水天宮・有馬さん:はい、あります。 カメラマンの状況というか、どういう参拝者が増えているかとか、 そういう話題って神社どうしでけっこう共有されるんですね。“こういうところでトラブルがあったよ”とか、 “こういう撮り方はちょっと困るよね”とか、そういう情報交換はあります。

神社って、当然なんですけど“入っちゃいけない場所”っていうのがあるんです。そこに、写真を撮るために入ってしまう人がいたり、 立ち入り禁止のところでポーズをとったり…。気持ちはわかるんですけど、ルールを逸脱して撮った写真って、果たして本当に美しいのかというのはやっぱり思いますね。やっぱり“神様の前である”ということを忘れないでほしいな、と。
——そういうところは、事前にカメラマンが知っておけると違いますよね。例えば水天宮で撮影するってわかっているご依頼なら予約画面に水天宮の参拝時ルールを表示することもできると思うんです。プラットフォーム側で“神社別の撮影マナー”を表示できればカメラマンが、知らずに撮影に行ってしまうのを防げるのかなと思います。

水天宮・有馬さん:それは本当にありがたいです。やっぱり“知らずにやってしまう”っていうケースが一番多いので…。

水天宮・吉田さん:あとご家族のほうも、撮りすぎちゃう人がいらっしゃるんですよね。特におじいちゃんおばあちゃんが、“赤ちゃんかわいいね〜”って盛り上がってスマホで写真を撮ってて、なかなかお祈りに集中できないなんてこともあります。そういった時に今日はプロのカメラマンに撮影はお任せして、祈りに集中してくださいね”って言えると理想なんですけど、その辺はなかなか難しいところもありますね。

水天宮・有馬さん:ご家族が御守の授与所で巫女が対応してるところを写真に撮っちゃう、みたいなこともあります。昨今はプライバシーの懸念も色々ありますので"ご家族向けガイドライン”っていうのも必要だな、ってすごく感じています。

■ 出張カメラマンの文化と共に

—— 改めて、これからお宮参りを迎えるご家族とか、カメラマンの方に向けて、何かメッセージをいただけたら嬉しいです。

水天宮・有馬さん:本当にありがたいことに、たくさんの赤ちゃんや七五三のお子様を含めいろいろなご家族様がいらしてくださる神社なので、みなさまが気持ちよくお参りができる環境を整えていきたいと思っています。

神職もそうですし、来てくださるカメラマンの方々も、“水天宮でのお参りをより良いものにしよう”という思いで、美しいお写真を撮影していただいていると思うんですよね。記念に残す・思い出を作るという意味では、気持ちは同じだと思っています。だからこそ、“一緒に良いご参拝の形を作っていけたらいいな”と私は思っています。

水天宮・吉田さん:これからの日本の社会は、どうしても子どもさんが少なくなっていく現実がありますけれど、その中で、長い間、ご先祖のみなさんが一生懸命つないでくださった、この“全国にある神社やお寺”という文化を、未来にできる限り“今の形のまま”残していくことは、とても大切だと思っています。

でも、それは“我々だけの力ではなかなか及ばないと思っております。だからこそ、“横のつながり”がすごく大事だと思うんです。カメラマンさんって、写真っていうすごい情報発信力のあるツールを持っているじゃないですか。だからその“お力も借りながら”、この大切な文化を未来に伝えていくこと──それが使命でもあると思っています。ぜひ、これからもご協力いただけたら嬉しいです。

—— はい、もちろんです。全国のカメラマンにも、しっかりお伝えさせていただきます。
有馬さん・吉田さん、貴重なお話を本当にありがとうございました。

改めてお宮参り・七五三フォトを快く撮影をさせていただいている数々の神社・お寺、その関係者のみなさまにお礼申し上げます。ラブグラフでは引き続き全国のカメラマンと共に、配慮の行き届いた撮影を徹底してまいります。