アイネクライネ
.me(ドットミー)で撮影 東京都
[ INTERVIEW:01 ]
今回の撮影に込めた意味や想いがあれば差し支えない範囲で教えてください。
【Yuki】
「私らしく」「私は私」と自分を肯定できるありのままの姿を写真に残したかったのがきっかけでした。
私は普段自己肯定感があまり高くなく、自信が持てずにいました。今思い返すと、きっと本当の自分を受け止めて好きになれなかったのかな笑
ノンバイナリーというセクシャリティがある自分に対して、無意識の中にある女性らしさを求められることへの苦しさや違和感。進学したにも関わらず、ラブグラファーになる夢を叶え、就職と安定を選ばなかった後ろめたさ。世間一般の「普通」からどんどん外れている気がしました。
日々を過ごす中で、こうなりたいと願う姿と周囲から求められる姿のギャップが大きくなっていって。生きづらさをどこかで感じていました。ふと今までの写真を見返すと笑顔で、可愛くて、女性らしい。それも嫌いではないけれど、格好よくて男性的な自分も写したいと思いました。女性らしさを打ち消した写真を撮ることで、ありのままの自分やこれまでの人生を肯定できるかもしれない。そんな想いを今回ぜんさんに託してお願いしました。
[ INTERVIEW:02 ]
ある意味本当の素の自分をさらけ出した撮影で、きっと普段のぽっぽを知っている人からすると驚く人もいると思います。そんな人達にも、この日の写真を通してこれからの自分をどう見てもらいたいですか?
【Yuki】
表面だけ見るといつも笑顔で、やさしさもあって、明るい。それも私の一部だけど芯の強さや弱さ、情熱や信念、意志も内にはしっかりある。そして性別にとらわれない、「私」がいることを少しでも知って貰えたら嬉しいです。
撮影前「あなたは自分の軸がない」とある人に言われてしまって。確かに公私共に常に人を見て、相手に合わせてきました。相手の気持ちの裏の裏まで読んで考えてしまうんです。裏切られるのも、自分の意見で不利益が生じて指をさされるのも怖い。だから自分の本心は奥に追いやって、他人を優先してしまう。その人は臆病な私を見透かしていたのかもしれません。しかし今回の撮影が勇気になり、内側に押し込んでいた軸が表に出て来るようになりました。内面的で私の考えや心の奥底まで写した写真なので、他人の目を気にしすぎず、ちゃんと自分を持ってるんだなと感じて頂けるといいなと思います。
[ INTERVIEW:03 ]
今回はコンセプト設計から当日までの準備からお互いでお疲れ様!撮影思い返してみるとどうだったかな。ぜひ最後にメッセージください!
【Yuki】
撮影中私は私なんだ、という気持ちを強く心に思った瞬間にシャッターが切れていくようになった時は、被写体とカメラマンというより人としてぜんさんと繋がっている。そんな不思議な感覚がありました。不安をあたたかく受けとめて、大丈夫と言って貰えている様な気がして、とても嬉しかったです。撮影日を境に気持ちも吹っ切れ、ありのままの自分を愛せるようになりました。撮影後には入りたかった企業への転職が決まったり、自分らしくいられるメイクやファッションを楽しめるようになったりと日々好転しています。気分も考えも前向きで、今まで生きてきた中で一番楽しくて幸せです。ラブグラフに入る時、そして自分と向き合って表現した時。ぜんさんには二度も人生をいい方向に変えて頂いたんだなと思います。たかが写真、されど写真。普段はフォトグラファーとして撮影する側ですが、写真ひとつでこんなに人って変わるんだなと実感しました。ありったけの想いと覚悟を詰め込んだ.meを、ぜんさんと作品として創りあげることができてよかったです。長々と綴ってしまいましたが、本当にありがとうございました。
【zen】
きっと依頼するときですら勇気が必要だったろうに、人に言えないような胸中を打ち明けてくれて、そしてそれを写真に残させてくれて本当ありがとう。
最初はその想いや感情を写真に昇華することへの責任や重圧を感じてしまって、どこまで期待に応えられるか正直不安でした。でもぽっぽが自分に掛けてくれた意味や覚悟を考えたら自分が持っているものを全て出し切るくらいの覚悟がこっちにも必要だと思えて、自然と頭と身体が撮影に向けた準備やコンセプト設計に向くことが出来ました。その過程も、撮影当日も、お互い楽なものではなかったけど、元々の想いがこのアルバムに1つ込められたと思っています。撮って出しの写真をみて、帰り涙ぐんでいたぽっぽの姿を窺って、きっと抱えていたものが少し軽くなったのかなと思うとちゃんと元先生として仕事やりきれたなと嬉しく思います。重ねてこちらから本当にありがとう。
このアルバムがかつてまだ10代で教え子だったぽっぽの成長記録でもあり、「新しいすぎもとゆき」として形容できるものになっていたら嬉しいです。またどこかで撮りましょう!
<最後に:このアルバムについて>
「人には言えないような、ありのままの自分」をさらけ出すことは言わずもがな難題なことです。でもその胸中を打ち明けて、更に写真を残そうとした彼女の勇気には心から賛辞を贈りたいと思います。普段人前で見せたくないような彼女自身の姿だからこそ「曖昧さ」と、でも変わろうとしている姿もあるからこそ「強さ」も入れ込んだアルバムにしたいと思いました。
もしかしたらラブグラフらしいアルバムではないかもしれません。ただ.meというジャンルが「自分を好きになるための撮影」というコンセプトの基にかつて生まれた事実を自分は大切にしていて、それが今回彼女の想いもあってまた達成できたかなと振り返って思います。このアルバムには色んな解釈があると思いますが、ぜひご覧いただいいてる皆さんなりの言葉で重ねていただけたら幸いです。
<あとがき>
アシスタントに来てくれたみーなとりり本当ありがとう!2人の協力なしに完成されなかったアルバムなので本当に感謝です!
Area: 東京
Date: 2021/11